ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の理解のための旧約聖書のあらすじ
ややこしい中東問題。宗教の対立から生まれた紛争なのはわかるけれど、その関係も複雑すぎていまいちわからない。ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、旧約聖書を基にしているので、旧約聖書をあらすじとして理解してたいと思います。ややこしい中東問題も、聖書を理解することでわかりやすくなります。2018年2月6日の記事を編集再掲しています。
聖書の内訳
聖書には、旧約聖書39巻と、新約聖書27巻があります。全部で66冊の本がまとめられたものを、聖書といいます。
旧約聖書 とは?
旧約聖書は4つに分けられます。*それは年代順には並んでいません。
(1)律法書(モーセの律法、ユダヤ人はトーラーと呼びます)
(2)歴史書
(3)文学書
(4)預言書
旧約聖書には、神ヤハウェが愛情を持って人間を造り、宇宙や地球、動物、植物を造ったかが説明され、神の愛情を受けたにもかかわらず、人間は罪を犯し、死の呪いを受けるようになります。
それでも、神ヤハウェは愛する人間のために、一つの小さな民族を選び、その子孫から人類の救世主「メシア」を送り出すことを約束します。
その歴史と預言が書かれているのが「旧約聖書」です。
新約聖書とは?
新約聖書には、旧約で預言された「メシア」がどのように現れ、何が起こったかが書かれています。
福音書と呼ばれる4巻には、メシアの生涯が書かれています。
新約聖書の預言の書である「黙示録」には、実現していない未来のことが書かれ、それをどう捉えて、どう備えるかを考えさせるようにできています。
それは、神による「人類救済計画」とされています。
旧約聖書の内容を4つに分類
【律法書】
「創世記」「出ジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」
世界の起源と、神ヤハウェの選んだ民について。言者モーセを使い、エジプトの奴隷であった民を自由へと導く。ヤハウェに背く民の話と、
何度も背く民を正しい方向に導くことを神ヤハウェは約束。(モーセはユダヤ教の祖)
【歴史書】
「ヨシュア記」「士師記」「ルツ記」「サムエル記第一」「サムエル記第二」「列王記第一」「列王記第二」
「歴代誌第一」「歴代誌第二」「エズラ記」「ネヘミヤ記」「エステル記」
ヤハウェは、民を約束の地(カナン)に連れていき、そこで、敵との戦いや統治する王を選ぶ。ソロモン王やダビデ王。
イスラエルは栄華を極めるが、人々は良くない行いの戒めを受ける。
イスラル王国は二つに分裂し、どちらの国も人々は敵国に連れ去られ、国は滅亡する(バビロンの捕囚)
人々の希望は、国に帰り、永遠の王(メシア)がやってくるという、ヤハウェの約束に望みかけた。
【文学書】
「ヨブ記」「詩編」「箴言」「伝道者の書(コヘレト書)」「雅歌」
〈善良な人間になぜ悪いことがおこるのか?〉という難しい質問から始まる「ヨブ記」。詩をとおしてヤハウェの人々への愛や、美しい世界観を表している。やがて指導者〈メシア〉がやってくる約束が、詩の中にたくさんみつかる。
【預言書】
「イザヤ書」「エレミヤ書」「哀歌」「エゼキエル書」「ダニエル書」
5つの大予言書の中で、ヤハウェは、預言者遣わして、メッセージを送っている。それは、イスラルが敵に攻撃され、絶体絶命のピンチのときに送られている。それは「ヤハウェの戒めに従え、さもなくば罰せられる」というもの。
人々はそれに従わず、滅びの道をたどるが、ヤハウェは未来にメシアを送ると、預言者を通して何度も約束している。
創世記〈聖書の一番はじめ〉
創世記は、神ヤハウェの「光あれ!」から天地創造が始まります。
神は天地創造の最後の日に、アダムとイブを作ります。アダムとイブは禁断の木の実を食べてしまい、神の怒りにふれ、エデンの園を追われます。その後、人類は増えますが、人類は神を怒らせ、神は人類を滅ぼすために、大洪水をおこします。
神は善人のノアとその家族だけを助け、ノアに大きな箱舟を造らせます。そして地球上の動物のつがい箱舟に乗せ、大洪水が引いたあと、ノアの子ども、セム、ハム、ヤペテが人類の祖先となります。
三男のヤペテが小アジアなど北方の民の先祖となります。
次男のハムは、エジプトなどアフリカ北方の民の先祖になります。
長男セムの子孫が、「天啓の書」を持つ ユダヤ人、アラブ人となります。
つまり、「旧約聖書」とは、セムの子孫の物語です。
「旧約聖書」は、セムの子孫の物語
セムの子孫アブラムの一族〈父の代にカルデヤの町ウルを捨て、苦難の旅を続ける」
アブラムは、ハランという町につき住みつく。ある日、アブラムは神から、カナンに行くよように言われる。
アブラム一行はカナンに着くが、すでに住んでいる人々がいた。アブラムは神ヤハウェが約束された土地で待つことにした。
アブラムが99才のとき、神ヤハウェが現れ、アブラムを多くの民の父とする契約をされる。神はこれより、アブラハムと名乗るように言われる。
神との契約の印として、アブラハム一族の男子は、割礼施すことになる。
ユダヤ教では男子生後8日に性器の一部を切り取る割礼を行う。
アブラハムには息子が二人いた。妻サラの産んだイサク〈次男〉と、使え妾ハガルの産んだイシュマエル(長男)がいたが。
イシュマエルを遠くに追いやり、神の命令でイサクを跡継ぎにした。
イシュマエルは荒野に住みつき、アラブ人の祖先になった。
アブラハムの息子イサクの子ヤコブ(のちのイスラエル)には12人の男の子が生まれた。
かれらの子孫がのちのイスラエルの12部族となる。
ヨセフは奴隷としてエジプトに売られる
ヤコブ(イスラエル)の息子ヨセフは、頭が良く、特別に可愛がられていたため、兄たちに妬まれ、奴隷としてエジプトに売られてしまう。
ヨセフには夢の謎を解く特技があり、エジプトのファラオに呼び出され夢を解き、凶作預言し知恵のあるものを備えるようにアドバイスすると、ファラオは、ヨセフを長官に任命する。ヨセフの働きでエジプトは救われる。ヨセフはカナンにいる一族をエジプトに呼び寄せる。
BC1600年ころ イスラエルの一族は、カナンからエジプトに移動する。その後400年間でイスラエルの子孫はエジプトで増えていった。
エジプトでイスラエルの人々は自らの神ヤハウェばかり崇め、エジプトの伝統になじまなかったため、エジプトで迫害を受けるようになる。
エジプトで奴隷として苦役を担わされるイスラエルの人々は、預言者モーゼの導きで、エジプトを脱出しカナンを目指す。
イスラエルの一行が、カナンに向かうために紅海の岸辺にたどり着いた時に、エジプト軍が迫ってきた。
その時、モーゼが神に祈り杖を振り降ろすと、海が真っ二つに割れ、イスラエルの人々は海の割れた道を通ることができた。
エジプト軍が追ってくると、モーゼは海を閉じて、エジプト軍は海に飲み込まれた。
モーゼ一行がエジプトを逃れて三カ月後、シナイ山の山中で、モーゼは神から十戒の掟を授かる。
十戒は二枚の石板に刻まれ、アーク(聖櫃)と呼ばれる契約の箱に納められた。
インデージョーンズ「失わわれたアーク」
律法(トーラー)は神の掟や命令であり、十戒は律法の中心であるが、他にも細かい規則として、祭祀の規則、生活の規則、食習慣の規則などが定められている。
ユダヤ教とは?
ユダヤ教は、自らの民を神ヤハウェに選ばれた至上の民(選民)とし、律法を固く守り続ける宗教です。
ユダヤ教 – Wikipedia :
ユダヤ教(ユダヤきょう、ヘブライ語: יהדות[1])は、古代の中近東で始まった唯一神ヤハウェ(יהוה)を神とし、選民思想やメシア(救世主)信仰などを特色とするユダヤ人の民族宗教である。ただしメシア思想は、現在ではハバド・ルバヴィッチ派などを除いて中心的なものとなっていない。 『タナハ』(キリスト教の『旧約聖書』に当たる書物)が重要な聖典とされる。
エルサレムの嘆きの壁で祈るユダヤ教徒
イスラエルVSパレスチナの紛争の始まり
モーゼたちのカナンへの旅は長くつづき、ヨルダン川の東岸のネボ山でモーゼは亡くなり、武人ヨシュアが指導者になる。
イスラエル軍は、神に約束された土地カナンを戦いとるため、他の民と争った。
イスラエル軍の最大の敵は、カナンの地中海東岸部に住む、ペリシテびと(パレスチナ人)だった。
BC1000年頃、カナンのベツレヘムにダビデが登場する。
ダビデはのちに、イスラエル統一王国の王になる。
当時イスラエルは、ペリシテびと(パレスチナ人)に対抗するため、サウル王をたて、少年ダビデはサウル軍で頭角を現わせていく。
ペリシテ軍1の大男のゴリアテをダビデは打ちとる。ゴリアテ倒したダビデの名前はあがり、イスラエルの民は、「サウル王は千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺す」と讃えた。
サウル王はダビデを恐れ、ダビデの命を狙ったため、ダビデはイスラエルのサウル王のもとから去る。
その後、ダビデはペリシテ軍のアキシのもとに手下とともに身を寄せる。
ダビデ
ペリシテの大群は、ギルボア山でサウル王の率いるイスラエル軍と戦う。
ペルシテびとは、サウル王のイスラエル軍を討つと、ダビデをイスラエル南部の王にした。
イスラエル北部を治めていたサウル王の子のイシボセテが死ぬと、ダビデはイスラエル全土掌握し、エルサレムに都を置いた。
今度はダビデは、イスラエル統一王国(ヘブライ王国)を完成するために、ペリシテ軍を討っていく。
なんだか、寝返ってばかりのダビデが、イスラエルを統一するのですね(*_*;
イスラエルびとに追われたペリシテびと(パレスチナ人)の苦難は、この時代から始まったのでした。
ダビデ王の子、ソロモン王の時代は、アラビアからシバの女王が朝貢にきて、イスラエル統一王国の繁栄を極めたが、ソロモン王の死後、BC930年頃
イスラエルは南北に分裂してしまう。
その後、BC721年には、イスラエルの北王国がアッシリアに滅ぼされる。南王国ユダも100年あまり新バビニアに脅かされる。
エルサレムは焼き尽くされ、ユダの王ゼキアと人々はバビロンに連れ去られる(バビロンの捕囚)BC586年
新バビロンのネブガドネザル二世がエルサレムを焼き尽くし、民を捕虜として連れ去る(バビロンの捕囚)
新バビロニアの都バビロンは、当時世界一の壮麗さを誇っていた。その後、ネブガドネル二世が亡くなると、新バビロニアは、ペルシア帝国に滅ぼされる。
ペルシア帝国の王、クロス二世は、捕囚のユダの民に、エルサレムに戻り神の宮を復興する許可を与える。
BC538年ユダヤ人はエルサレムに戻る
ペルシアが弱体化するBC330年までは、ユダヤ人(古代イスラエル人)は十戒を守りながら平穏な日々を過ごす。
その後BC330年ペルシアはアレクサンダー大王に滅ぼされギリシアの支配になる。イスラエルもBC332年にギリシアに支配される。
ここまではユダヤ教の時代についてご紹介しました。
【関連過去記事】↓こちらもごらんください。
原始キリスト教とは?ユダヤ教とキリスト教の違い。各宗派の違いは? | :
★トランプ大統領は、エルサレムをイスラエルの首都と認めると発言しましたね。今後再び荒れそうな中東問題はどうなっていくのでしょうね?
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